簡単クラスルームイングリッシュ~小学生に教える先生向け
小学校に外国語活動として英語が導入されて久しいですが、2020年からは5,6年生で英語が教科となりました。担任の先生が英語の授業を担当する場面も増えています。
「簡単で伝わる、教室の英語表現を知りたい!」という声にお応えして、小学校の外国語活動で使える、クラスルームイングリッシュを伝授します!
小学校英語の現場をよく知り、担任の先生とのTT(ティーム・ティーチング)経験も豊富な講師が、これまでに小学校教員、サポート人材への研修も多数行ってきた経験から厳選したクラスルームイングリッシュ一覧、教室英語フレーズ集です。
「これだけでいいの?」と思っても、あなどるなかれ。 シンプルだからこそ児童に伝わりやすく、小学校で本当に使えるものばかりです。
クラスルームイングリッシュはフレーズの「数」の問題じゃない! 手持ちの表現は少なくても、表情豊かに話してください。英語で話して、児童がちゃんと活動できる、その効果に驚きますよ!
クラスルームイングリッシュとは? なぜ使う?
クラスルームイングリッシュとは、英語の授業内で繰り返し使われる表現の総称です。直訳して「教室英語」、つまり教室内での挨拶、質問や指示、ほめる表現などのことを指します。
クラスルームイングリッシュはなぜ使われるかというと、教室内で、できるだけ英語を使う環境を作るためです。
繰り返し出てくる挨拶や指示、ほめる表現などを、教師が英語で言うようにすれば、小学校での限られた授業時間でも、児童にとって英語を聞く回数が増えます。
繰り返しのインプットで英語表現・フレーズが耳に残ると、次はアウトプット、つまり児童自らも英語を口にする、話すことにつながります。
このように、小学校でも実際に意味ある場面で英語を使うことが、生きた英語への入口となります。
(以下に紹介するクラスルームイングリッシュ一覧やダウンロード資料は、小学校だけでなく中学校や高校など、様々な授業の場面で使えます。「こんな場面でも使えるかも」などと想像しながら、気楽にご覧くださいね!)
何はなくとも、このフレーズ!
「クラスルームイングリッシュ」としてずらりと表現一覧を紹介する前に。何より大事なこの一言。
英語が得意でも、苦手でも! 先生として、児童の学びを応援するこのフレーズを、使ってください。
「ありがとう」
Thank you!
単純な表現で誰にでもわかる、言われて嬉しいフレーズです。
小学校の活動で「ありがとう」が使える場面、すぐに3つ以上、挙げられますか?
ほんの一例:
・児童が発言できたとき
・TTをしている先生が何かを手渡してくれたとき
・クラス全員がこちらに注目できたとき
・ボランティア児童がデモンストレーションを手伝ってくれたとき
(前に出てきたとき、デモを終えて戻るとき それぞれ!)
・クラスの終わりに名札を回収するとき
など いくらでも機会がありますね!
常に、気持ちの伝わる笑顔で言うようにしましょう。
元気にスタート! 挨拶など
日本語を見て、すぐに英語が言えるか、試してみてください。実際に場面をイメージして、声に出すのがコツですよ! 気持ちを込めて、明るい表情も忘れずに!!
「準備はいいですか」
Are you ready?
「はじめましょう」
Let’s begin.
Let’s get started. も自然な感じでおすすめ。
(何かを手渡して)「どうぞ」
Here you are.
このとき、黙って受け取らせない! 目を見て Thank you. と返せるように促しましょう。
繰り返し使える、質問
「クラスルームイングリッシュ」を使わなくては、と構えるのではなく、日常のやり取りの中で慣れていけたら理想的ですね。
「今日の天気はどうですか」
How is the weather today?
It’s sunny. cloudy / rainy / snowy など答えも繰り返すので身につきますね。小学校の担任の先生なら、天気の英語カードを壁に貼っておくなどして、外国語活動のない日にも児童とやり取りし、習慣化できそうです。
「これは英語では何ですか」
What’s this in English?
逆に、「日本語だと何と言いますか」What’s this in Japanese? と尋ねる場面もあるかもしれません。
英語で質問すると、日本語を発しても「英語モード」が続きます。
やってみよう! 指示は明確に
「クラスルームイングリッシュ」というとこのあたりの指示表現が思い浮かぶ方が多いようです。一緒に見ていきましょう!
「席についてください」
Please have a seat.
「ここを見て」
Look here.
「地図を見て」なら Look at the map. となりますが、上記は Look at here. (×)としないように。
「言って(やって)ごらん」
Go ahead.
「前に進みなさい」「お先にどうぞ」の意味から、「どうぞ、やってごらん」とアクションを促す言葉です。
「もっと大きい声で」
Louder, please.
これは、厳しい表情で言うのではなく、笑顔で大げさにアクションをつけながら、声のボリュームを上げてもらいましょう。
小学校に限ったことではありませんが、もともと声の小さい児童などは、すでにがんばっているつもりのときにこれを言われると、声が出なくなってしまいますので特に注意が必要です。
「ペアになって」
Get into pairs. / Make pairs.
アクティビティでも使える「クラスルームイングリッシュ」、指示の一覧は、シートにしてプレゼントしますのでページの最後をご覧くださいね。
ほめて、ほめて、励まして!
ベテラントレーナーが実践している、ちょっとした声掛けの一覧です。これも立派な「クラスルームイングリッシュ」。英語を使いつつ、気持ちがちゃんと伝わるように心がけてくださいね。
「よくできました!」
Very good!
ほめるのは素晴らしいことです。ただし、声の調子やトーンが単調にならないように! また、Good ばかりでなく Well done. / Great! / Wonderful! などのバリエーションを持たせられると良いですね。
このようなフレーズが飛び交うクラスなら、元気も出ます。また、教室だけでなくその小学校全体の活気につながる、と信じています!
「よく挑戦しました」
Nice try.
発言が「正解」でなかったとしても、アクティビティやゲームで、カードやポイントがもらえなかったとしても…… その挑戦を認める一言をかけてあげたいですね。
「もう一度挑戦しましょう」
Let’s try again.
英語のレッスンでは、正解を知っている子が活躍するばかりではつまらないものです。特に小学校は皆に学びのチャンスが与えられています。
「知らない、わからない」も当たり前。挑戦、発言したことをほめ、発見を楽しむこと、挑戦することを奨励しましょう!
このような先生の姿勢、相手を大切にして関わろうとする気持ち、子どもたちは見ています。
言いすぎ注意! このひとこと
「わかった?」「さて」など
Okay? OK…
同じ言葉を繰り返しすぎると、聞いているほうは不快になります。(Annoying!)
先生のトレーニングや模擬レッスンでも、英語で話し続けなくては、間を持たせなくては、という気持ちから okay を連発する方が多いです! ご自身は大丈夫ですか?
おまけのアドバイス:
クラスルームイングリッシュそのものではありませんが、小学校での活動に関連して。
民間の英語教室での指導などをされていると、子どもたちのことを「生徒」と呼ぶことがありますね。
でも、小学校では子どもたちを「児童」と呼びますので、心に留めておいてくださいね。
全部英語だと、理解できないのでは?
ここまで様々な「クラスルームイングリッシュ」表現を一覧にしてきましたが、
「英語の指示では、児童は理解できず、ついてこられないのでは?」というご質問を受けることもあります。
確かに、少し込み入った内容であれば、興味付けや説明の部分で日本語での導入が必要・効果的なケースもあります。
しかし、ここで取り上げたようなクラスルームイングリッシュなら全く問題なく伝わります。
上のような質問をされた先生の授業を拝見すると、たいていの場合は「先生が伝えきれていない」「伝わる工夫をしていない」ところに問題があります。
例えば、 “Get into pairs.” (ペアになって)を小学校の活動で初めて使うときを想像してみてください。
直立不動で言ったら?
大半の児童には伝わりませんね。
では、伝わるためにジェスチャーや体の動き、立ち位置を変えるなどの工夫をしたらどうでしょう。
子どもたちのところまで行き、2人ずつを一緒に立たせるなどして、視覚的に見せたら?
伝わりやすさが全く違いますね。
“Please stand up.” (立ってください)も、手や体を使って、椅子から立ち上がることを促しているはずです。
このように、先生がクラスルームイングリッシュを使う際、「個々の単語やフレーズの意味は知らなくても、言われていることはわかる」ことは多いです。
英語になじみがない、知らないことが多いからこそ、楽しい雰囲気で繰り返し表現に親しみ、学ぶのです。
ここでご紹介したクラスルームイングリッシュ一覧をヒントに、教師と児童が一緒に楽しむ、実りある時間となりますように!
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